2010年02月27日

読書雑感6冊

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少し前に読んだ本の雑感など。

●『マイナス・ゼロ』 広瀬正

この本は
私の好きな「タイムスリップもの」ということを
随分前に聞いていたので気になっていたがようやく会えた。

タイムマシンは出てくるが
時代を跨いで、それぞれの人生がみっちり描かれ
俊夫と啓子の数奇な運命が次第に紐解かれていく。
ゆっくりと核心に迫っていく緊張
ガーンと頭を殴られたような衝撃を覚えた
一見古風な物語の中でタイムパラドックスのいびつさが
際立って素晴らしく震えた。


●『世界クッキー』川上未映子

この人の文体は、エッセイですら呼吸をするような…
細胞の奥で書いているような感すらある。
だが絶対的に女性のリズムだという気はする。
彼女はその文体で
その時々のとるに足らないとこから派生した昂ぶる思いや
過去に置き去りにした生温かい感傷を
つぶさに脈絡なく語ってくれる。

そのとりとめもなさが
兼好の
あやしうこそものくるほしけれ」という言葉さえ思い出させるほどだ。
彼女の細胞からの吐露を聞くような文章。
少し読むだけで
うっかりすごく親密になったような錯覚をしてしまうのも
彼女の人気が美人だけにとどまらない理由だろう。


●『知恵熱』池松絵美

なんとなく面白そうで手にとったが、
後々辛酸なめ子氏の本名だったと気づいた。

まさに中二病というか
女子中学生と女子高生のそれぞれの
頭でっかちだとか…世を拗ねてるだとか…
感化され易いだとか…異性への興味だとか…
このリアルなまでの感情の動きや関係性の変化
天才的…というのか彼女自身が
いまだに少女の心を持っているのか。

そう少女って綺麗なものとか無垢なものではなく
かなり残酷で身も蓋もない生き物なのです。

●『知りたがり屋の猫』 林真理子

この人に
男女にまつわる裏のドロッとした感情や
同性に対する僻み嫉み恨みなど
書かれると毎度毎度巧くて唸る。
起承転結転結くらいのしつこさやボロボロに堕ちていく様とかも。
たまに読みたくなる。

長編だと思ってたら短編集だった。
そしてこの中の終わりの方の短編は真理子ぽくなく
さらっと終わっているものが幾つかあって新鮮だった。

最近も真理子節っていうのかなよく出てくる
「男が自分の名を呼び髪を撫でる…その時間のなんと甘美なことか」
的な文章とか。こういうスタイル変えないよね。

押し付けがましさもあるけどすぐ彼女の文章ってわかる。
ここまで来ると独自性の確立でアッパレ。

林真理子の
聖家族のランチ」はとにかく恐怖だった。あんな凄い展開とはね。
しばらく食欲を失った。

●『お母さんという女』 益田ミリ

益田ミリ、『お父さんという男』も読んだので
続けて読んでみた。
お父さんとは他人行儀なとこもよく描かれていたけど
お母さんとの距離はぐっと近い。
「母からメールがどんどん来るようになって嬉しい」と書く反面
いつか来なくなったときのことを考えると
というような先の心配をするとこなんて
少し泣ける。

私も楽しいとすぐにそれを失うことを考えてしまうから。
いつも同時に同率で持ってしまう。

>●『六つの手掛かり』 乾くるみ

乾くるみは男性作家で

「イニシエーション・ラブ」が特別面白かったので
それからあとも「リピート」とか読んだが
それはあまりピンと来なかったなあ。。。

で、この本はオムニバスになっていた。
東野圭吾の天下一のような。

林茶父という探偵が事件を解決するという。
風貌は太ったチャップリンでマジシャン。

それぞれの事件はよく練られていて
トリックなどに破綻は感じられないが
ややそれにまつわる人間の行動に強引なとこがあるというか
その動きに必然性があるのかは疑問…
その人のその個性だからと言われればそうかと
自分を納得させながら読むしかなかった。

茶父氏の謎解きも一見論理的だが
幾分レトリックの巧妙な人という印象だ。

まあ面白くは読めた。

最後の最後はウイットある…笑
posted by 彩賀ゆう at 00:48| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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