2010年10月29日

読書雑感5冊

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●佐藤可士和のクリエイティブシンキング佐藤可士和


佐藤さんは有名なアートディレクター佐藤可士和氏

企業戦略からブランドイメージCMなどその斬新な企画力が注目されている。

ユニクロがあそこまで発展したのも可士和氏のマーケティングデザインの力が大きいと思う。

この本にも写真があるが

ふじようちえんのドーナツ型の園舎には夢が溢れている。

『園舎自体を遊具にしたい』佐藤さんのコンセプトでこれを設計したのは

手塚さんという建築士だが私が見てもわくわくするほどだ。



可士和氏はひらめきの人だと思うが

会議などで関係者にビジュアルを見せてもすぐには理解されないらしく

『このような効果があるのだ』とひとつひとつ解説しなければわかってもらえないと。

それは天才と凡人の開きだと思うのだが

最初の提案から手放しで称賛されているはずだと思っていた私は驚いた。

それで可士和氏もこの本にびっしり解説&図解しているように、

飛躍した考えではなく素人も段階を踏んで

クリエイティブシンキングできるように降りてきてくれている。

それはとてもわかりやすい。




方向性のブレが生じたり、意見が分かれたりしたときは

本質に立ち戻り『そもそもこういう目的でやってるんだよね』という

根幹を見直すことで納得して方向を見極めることができる…とか

積極的にコミュニケーションスキルをアップしようとすること

そうしたアプローチを行うのは

可士和氏の中に

『人間同士はたやすく分かりあうことはできない』という認識があるからだそうだ。

そう思ってかかることは大切なことで

可士和氏は普段でも相手が話すと

『それはこれこれこういうことですか?』と自分の理解度で聞き直し、

違うというときは再度聞き、相手の言わんとすることに近づくよう訓練をしているらしい。

この姿勢に脱帽。



人間は何かと相手のことも、

相手が言うことも『分かったつもり』になりがちだがそこには大きな隔たりがあるのだ。

私が読んでも腑に落ちることは多かったが

組織にいる方にはピンとくることや応用できることがさらに多いと思える。



あられもない祈り島本理生

妻のいる『あなた』が好きになり

『あなた』が『あなた』である所以…『あなた』に影を落としている彼の幼少期の体験

それも含めて『あなた』を受け入れ救おうとする私。

『あなた』と妻の関係は不思議だが私と直樹の関係もまた少し不思議だ。

『あなた』のせつないくらいセンシティブで温かい部分と

どうにも無機質に感じる部分が島本的リアリティで語られる。



『あなた』は逃げようと言った私に半分肯定しつつも

『逃げるっていう行為は逃げ道をなくしていくことでもある』と言った

その言葉が印象に残った。

蜜柑などディテールがすごく効いている




●鬼苑乗物帖内田百

百關謳カの乗り物エッセイ

いつか百關謳カの本に挑戦したかった。

私がだいぶ前から少しずつ聞きかじったそのユーモアセンスに魅力を感じたからなのだが

(広場にパン屑をバカという形に置いて、

そこに来る鳩達がバカの形になっているのを見て楽しむ…など)

誰かが言ってた

『内田百閨xのエッセイを読んでるときだけは心が穏やかになっていた…

というのも気になり、ヒーリング効果もあるのかとまた惹かれた。


文章は旧漢字や旧仮名遣いだが
(矢つ張り→やっぱり)(こはいものはこはい)(八釜しく→やかましく)

などなど、頭の中で一瞬変換しなければならないが(昔は拗音もなかったようだ)

なんだか意外と雰囲気で読め

その淡々とした文体と相まってより穏やかでゆったりした時間を感じる。

それがヒーリング効果かもしれぬ.



食堂車に行った話が面白かった。

注文の際の融通のきかなさもさることながら

食事の途中で給仕の女性達が実働時間が過ぎすっかり入れ替わり、

なんとテーブルクロスまで替えられたり、

注文した品数の最後のものが出てこなかったり散々である。



今をときめく羽田空港の様子や彼の最初のフライトも書いてある

そして

これから何処に行くのも着くのも速くなり、

交通が発達し過ぎると人はいつもどこかへ行かなきゃならなくなる。

行けなきゃ行かないのに。

人はいつも「どこかへ行く途中」になってしまったりするんだろう
しかし速く遠くへ行くものは料金が高いから踏みとどまれるようになっていて助かる。

とゆうようなことを書いている章があって

『真理だ』などと思った。

進化を喜びながら、めんどくさがって憂う気持ちが面白い。




●かみつく二人三谷幸喜 清水ミチコ

二人のおなじみラジオシリーズ だが

相変わらず

三谷さんはすっとぼけてたりして、かと思えばやけにひとつのことに偏執的だったり

それ考えるとミッちゃんは

三谷幸喜に対しトドメを刺しそうなくらいの毒舌を振りかざしてるけど
(まあこの人はサービス精神が強大な人だから)

落ち着いたスタンスに見える。


面白かったことは

三谷氏脚本の舞台でハラハラしたことがあったと。

あの西村雅彦がセリフを飛ばしてしまい、

舞台に出ている役者達は仕方なくそこから続けてそのままでよかったんだが、

なんとひとりが気をきかせて飛ばしたところに戻したらしい。

するといずれダブるとこが出てくる…

どうするんだ?と気をもんでいたら

役者達が『さっきも言ったけどさ』とセリフの前につけたりして

うまくダブったセリフをこなしたんだとか…

すごいんだなあ役者魂!


そしてもひとつ

市川崑監督(九十歳)に頼まれて犬神家に出ることになった三谷さん。

なぜか老人の役で

『うーん若過ぎるなあ…ヒゲつけて!…うーん…だめだなあ白髪を…』とかで、

どんどん三谷幸喜じゃなくなってきて

『これはすでに自分じゃないなあ〜』と思ってたら

『ところで三谷くんはなんで出ることになったの?』だって

市川監督ナイス…いや三谷幸喜氏はショックだったろう(苦笑)


●不運の方程式〜あなたの『ついてない!』を科学する
ピーター・J・ベントリー

これは『あなた』の不運過ぎる一日に密着

まずあなたの寝過ごしから始まる一日。。。
寝過ごしはなぜ起きるか
ということも踏まえて睡眠の科学夢の科学を紐とく

この後、車に乗ろうとして鳥のフン被害に遭い
その際にカバンをどこかに落とし
ガソリンスタンドでは軽油を入れてしまい、
仕方なく徒歩で会社目指すも
迷ったりバス停留所でずっこけたり
バスの中で髪にチューインガムがついたり…と

架空の登場人物ながら
この『あなた』に同情を禁じ得ない
会社に着けばパソコンに関するトラブルまで…orz

それぞれの失敗はほんの導入でそこから展開する解説のスタイルは色々で面白い。

パソコンの故障の末期は
最後の手段でパソコンを傾けまくったり、HDを冷凍庫に入れるとか斬新な裏手段まで書いてある。

「赤ワインをこぼす」という失敗から
赤ワインのしみが乾かないうちに白ワインでとることができるという伊東家的なネタから

排水溝に鍵を落とす
という失敗から
宇宙の重力の話になるのだ…
壮大過ぎる!!

なんだかんだ
身近なとこから雑学覚えたい人にはオススメの本です。
posted by 彩賀ゆう at 16:22| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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