2011年02月10日

読書雑感5冊

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●日本語ぽこりぽこり/アーサー・ビナード

日々の非常口でファンになった彼の
小気味よい彼ならではの日本語選びとリズム感♪

起承転結ある文章の巧みさがここでも光っていた。

とある駅に貼られた広告にどうにも我慢ができないビナード氏。
「静さや 岩に染み入る 蝉の声」を英訳して
ご丁寧にカタカナで書いてあるポスターに対してあらゆる方向から
ビナード氏の正解を導き出し、友人のアメリカ人と話し合ってみたり。

日本人にしかわからない趣きを英訳できるのは日本人だろう…
と考えるのは思い上がりであって
ビナード氏は日本人以上に日本の情緒を感受している。

この本のタイトルにもなっている句

「吹井戸やぽこりぽこりと真桑瓜」

このぽこりぽこりがとても気に入ったと
しかし、ぼこりぼこりという説もあり
それに対しては「かなり違う!」と困惑している。
私が聞いてもぼこりぼこりはなんとなく無粋で無骨な感じがする。

ぽこりぽこりの語感が大好きなビナード氏が微笑ましい。



●銀の鍵/角田光代

100%Orangeの絵も相まって
大人の無国籍な物語に仕上がっている

彼女はアキカウリスマキの映画に衝撃を受け、
そこからまたイマジネーションを膨らませこの話を書いたのだという

何にも覚えてないアウェーの私
だからこそ言葉も通じない人々との交流にほだされる
大人になって大人のまま
童心に帰らずに読める物語に心を動かされた。



●言えない言葉/益田ミリ

『私の友人は私を含めサバサバしてない人ばかり』とゆうのはなんだかミリさんらしい。

そういう益田ミリの本を沢山読み、書いてある細かい逡巡に膝を打ってる私もまた同じだ。

『こういう風に思われたら?』→『でも…こういう風に思われたい人に見られるかも?』と
深読みの深読みして行動に迷う彼女、

漫画もシンプルな無表情の中で思考だけがぐるぐる回ってる。

自分と同じようにろいろ気づきながら、

迷った思考にやんわり決着つけながら生きてる人間が確かにいて、いいなと思う

ミリ氏の「どうしても嫌いな人」の決着のつけ方には「…え?」といささか驚いたが(笑)



●テレビの中で光るもの/銀色夏生


銀色氏が、今私が書いている似顔絵blogのように
テレビから印象的な有名人のあれこれを彼女ならではの感覚で語る。

銀色氏のアイデンティティには馴染みがある。

彼女の絵はボールペンで自由に書いてあるのだが
私と同じ感覚で描いた絵に笑った部分がある
『私の似顔絵心を刺激した○○』という言葉が添えられていて

…やせた金平会長

…夏川純の髪の多さ

これは数年前私もすぐさまblogで絵にしたこともあり
刺激のされ方が『同じだ』とびっくり。

銀色氏の娘や息子とのやりとりもかなり対等になっていて面白い。
銀色さんもマイペースな人で、的を得すぎたするどい毒もあるが、
歳を重ねまるくなったところもあると感じる。

SMAPは皆歌が下手だよね〜」と
銀色氏が思っていることをハッキリ娘に言わせるとこも巧み。
「でも馴染みの力ってすごいね」と
SMAPの人気は「馴染み」と言い切ったとこも凄い。


銀色氏が
「私が男だったら明菜や真理子や美和子や
広末や深キョンには近づかない!」
と書いていたとこがあり

「同感〜!!え?深田恭子も?深田恭子なら近づくけど?」と

と思ったら、下に描き文字で
「ん?深キョンはいいか。かわいいもんね」
言い直すようにちゃっかり書いていた。

なぜ、あの危ないメンツの中に深キョンも入れてしまったんだろ。
深キョンは違うカテゴリだと思う。


●怖い絵3中野京子

この本は絵画と
その裏にある怖い歴史背景や作者の思惑を推測して
解説してある興味深い内容である。
解説に従って気づかなかったところに眼をやると
また驚き、再発見に震える…面白さである。

気になったものを数点。

・ベアトリーチェ・チェンチ
悲劇の運命といくつかの伝説。
そのおとなびた美貌と諦めの表情にひきつけられる。

・死と乙女
死神は怖いのだが、そこにひたむきに抱きついている女性の姿に心を揺さぶられる。
。死神の迎えるような拒否するようなポーズも
彼女の本意ではないだろうし余計に悲しい。
怖いというより強い悲しみを覚える絵だ。

・聖アンナと聖母子
この構図はほんと面白い。不自然過ぎていろんな解釈がすんなり納得できる。

・「ジン横町」そして「ビール街」
ジンが民衆を滅ぼしていく様が恐ろしく描かれている。
解説によって細かい描写に気づくとさらに怖い。
そして片やビール街の陽気な酩酊が対称的に表現されている。
ジンもビールも好きな私だが、こういう捉え方があるのかと驚愕。

・「メドゥーサの首」と並べられた葛飾北斎の「生首図」
著書の「日本人はこっちのほうが怖いでしょう」
まさにビンゴ

・フェリペプロスペロ王子
絵画は幼児の凛とした貴族ぶり…と見たが

そこには王朝でも「生まれてすぐギプスのように固められ
壁に立てかけられたり、親も適当に育児放棄しながら
悲しく育つ子供」という現実も解説されており
やりきれない思いになった。

・怒れるメディア
脅威におびえながら武器を持ち、子供を抱き守っている母…と見たが
解説によれば、母は子供を殺そうとしており
子供二人は殺気を感じておびえている…とある。
そういう眼で見ると子供の顔は本当におびえと諦めで悲しいほど歪んで見える。

絵画の裏にある怖い背景…その視点や感じ方の揺らぎがなんともいえない本。
posted by 彩賀ゆう at 14:57| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月19日

11~12月の読書

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この時期
本を時間の合間合間に読んではいたが
雑感を書く余裕がなかったので読んだ本をざっと紹介。


●脳が喜ぶ生き方
●芸術脳

茂木健一郎

●更年期少女
真梨幸子

●偉いぞ!立ち食いそば
東海林さだお

●私が彼女を殺した
東野圭吾

●延長戦に入りました
奥田英朗

●しがみつかない生き
香山リカ

●美貌と処世 
林真理子

●検索バカ
藤原智美

●捨てる!スッキリ生活
辰巳 渚

●ノートパソコンは買うな
小山信康
●インテリア以前の収納掃除の常識
本多弘美

●告白
湊かなえ

この中でも印象に残っているのは「更年期少女」
貴族の女性のように呼び合ういい歳した女達の奇妙なグループ
しかし全く気を許しあってはいない…次々起こる凄惨な事件。。。
身体だけ大人になり、社会的には大人と見なされているゆえに
精神年齢の稚拙さのアンバランスが悲劇を呼ぶ怖いオバサマ達であった。
松苗あけみのカワイイ表紙〔裏表紙は…〕シュールさを掻き立てる。

あと年末に向けて収納や掃除などの本を読んだが
実用にもなるが、どの本も「モノに対する向き合い方」を教えてくれ
今世間で流行の「断捨離の精神」に意識的に近づけたと思う。
かなりのものを捨てられたし、そこには悔恨の念もなく
非常に晴れ晴れとした気持ちになった。
(山奥の処理場まで自らいろんなものを運んだ私)

東海林さだおさんの…
とある店の立ち食いそばメニューを全制覇する地味なチャレンジ精神。
まあ本を書くネタだとしても頼みたくないメニューもある。
素うどんを頼んだときの微妙な空気
(貧乏と思われないかという自意識過剰ぶり)などもよく書かれていて
その場の臨場感を肌で感じる。「ほんとにやったんだなあ」と。
相変わらずの小市民的な心と開き直りが笑わせてくれる。

「告白」は映画を観たが
本を読んでなかったので読んでみた。
本にしか書かれていない心情もあったと思ったが
それも手記という形なので「ほんとのことをどこまで書いているか」という曖昧さもあり
映画とは違う角度で人物像が見えた。
しかしこの物語のどこにも正義はない
家族への愛や固執がどんどん歪み、臨界点を越え犯罪になる。
先生も生徒も親も誰もが地に足つけず浮遊している。
みんな利己主義で救いはなく気持ち悪い。

奥田英朗さんのやや下世話な視点も
相通じるものがあるので何かと納得。
野球、ボクシング、相撲などを観てると
試合に集中できずお客さんに視線を走らせてしまうとこは私も同じだ。
昨日の相撲もオリンピックおじさんが気になってしょうがなかった。

そしてこの頃結構茂木さんの本読んでいた。
茂木さんは脳科学者であり脳の限界も知りながら
人間の多様性に感嘆できる人だ。
「芸術脳」ではピアニストの山下洋輔さんは思考から突飛で面白いと思った。
穏やかなのに壊れてて、アナーキズムがある。すごく芸術家らしい。




posted by 彩賀ゆう at 17:05| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月29日

読書雑感5冊

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●佐藤可士和のクリエイティブシンキング佐藤可士和


佐藤さんは有名なアートディレクター佐藤可士和氏

企業戦略からブランドイメージCMなどその斬新な企画力が注目されている。

ユニクロがあそこまで発展したのも可士和氏のマーケティングデザインの力が大きいと思う。

この本にも写真があるが

ふじようちえんのドーナツ型の園舎には夢が溢れている。

『園舎自体を遊具にしたい』佐藤さんのコンセプトでこれを設計したのは

手塚さんという建築士だが私が見てもわくわくするほどだ。



可士和氏はひらめきの人だと思うが

会議などで関係者にビジュアルを見せてもすぐには理解されないらしく

『このような効果があるのだ』とひとつひとつ解説しなければわかってもらえないと。

それは天才と凡人の開きだと思うのだが

最初の提案から手放しで称賛されているはずだと思っていた私は驚いた。

それで可士和氏もこの本にびっしり解説&図解しているように、

飛躍した考えではなく素人も段階を踏んで

クリエイティブシンキングできるように降りてきてくれている。

それはとてもわかりやすい。




方向性のブレが生じたり、意見が分かれたりしたときは

本質に立ち戻り『そもそもこういう目的でやってるんだよね』という

根幹を見直すことで納得して方向を見極めることができる…とか

積極的にコミュニケーションスキルをアップしようとすること

そうしたアプローチを行うのは

可士和氏の中に

『人間同士はたやすく分かりあうことはできない』という認識があるからだそうだ。

そう思ってかかることは大切なことで

可士和氏は普段でも相手が話すと

『それはこれこれこういうことですか?』と自分の理解度で聞き直し、

違うというときは再度聞き、相手の言わんとすることに近づくよう訓練をしているらしい。

この姿勢に脱帽。



人間は何かと相手のことも、

相手が言うことも『分かったつもり』になりがちだがそこには大きな隔たりがあるのだ。

私が読んでも腑に落ちることは多かったが

組織にいる方にはピンとくることや応用できることがさらに多いと思える。



あられもない祈り島本理生

妻のいる『あなた』が好きになり

『あなた』が『あなた』である所以…『あなた』に影を落としている彼の幼少期の体験

それも含めて『あなた』を受け入れ救おうとする私。

『あなた』と妻の関係は不思議だが私と直樹の関係もまた少し不思議だ。

『あなた』のせつないくらいセンシティブで温かい部分と

どうにも無機質に感じる部分が島本的リアリティで語られる。



『あなた』は逃げようと言った私に半分肯定しつつも

『逃げるっていう行為は逃げ道をなくしていくことでもある』と言った

その言葉が印象に残った。

蜜柑などディテールがすごく効いている




●鬼苑乗物帖内田百

百關謳カの乗り物エッセイ

いつか百關謳カの本に挑戦したかった。

私がだいぶ前から少しずつ聞きかじったそのユーモアセンスに魅力を感じたからなのだが

(広場にパン屑をバカという形に置いて、

そこに来る鳩達がバカの形になっているのを見て楽しむ…など)

誰かが言ってた

『内田百閨xのエッセイを読んでるときだけは心が穏やかになっていた…

というのも気になり、ヒーリング効果もあるのかとまた惹かれた。


文章は旧漢字や旧仮名遣いだが
(矢つ張り→やっぱり)(こはいものはこはい)(八釜しく→やかましく)

などなど、頭の中で一瞬変換しなければならないが(昔は拗音もなかったようだ)

なんだか意外と雰囲気で読め

その淡々とした文体と相まってより穏やかでゆったりした時間を感じる。

それがヒーリング効果かもしれぬ.



食堂車に行った話が面白かった。

注文の際の融通のきかなさもさることながら

食事の途中で給仕の女性達が実働時間が過ぎすっかり入れ替わり、

なんとテーブルクロスまで替えられたり、

注文した品数の最後のものが出てこなかったり散々である。



今をときめく羽田空港の様子や彼の最初のフライトも書いてある

そして

これから何処に行くのも着くのも速くなり、

交通が発達し過ぎると人はいつもどこかへ行かなきゃならなくなる。

行けなきゃ行かないのに。

人はいつも「どこかへ行く途中」になってしまったりするんだろう
しかし速く遠くへ行くものは料金が高いから踏みとどまれるようになっていて助かる。

とゆうようなことを書いている章があって

『真理だ』などと思った。

進化を喜びながら、めんどくさがって憂う気持ちが面白い。




●かみつく二人三谷幸喜 清水ミチコ

二人のおなじみラジオシリーズ だが

相変わらず

三谷さんはすっとぼけてたりして、かと思えばやけにひとつのことに偏執的だったり

それ考えるとミッちゃんは

三谷幸喜に対しトドメを刺しそうなくらいの毒舌を振りかざしてるけど
(まあこの人はサービス精神が強大な人だから)

落ち着いたスタンスに見える。


面白かったことは

三谷氏脚本の舞台でハラハラしたことがあったと。

あの西村雅彦がセリフを飛ばしてしまい、

舞台に出ている役者達は仕方なくそこから続けてそのままでよかったんだが、

なんとひとりが気をきかせて飛ばしたところに戻したらしい。

するといずれダブるとこが出てくる…

どうするんだ?と気をもんでいたら

役者達が『さっきも言ったけどさ』とセリフの前につけたりして

うまくダブったセリフをこなしたんだとか…

すごいんだなあ役者魂!


そしてもひとつ

市川崑監督(九十歳)に頼まれて犬神家に出ることになった三谷さん。

なぜか老人の役で

『うーん若過ぎるなあ…ヒゲつけて!…うーん…だめだなあ白髪を…』とかで、

どんどん三谷幸喜じゃなくなってきて

『これはすでに自分じゃないなあ〜』と思ってたら

『ところで三谷くんはなんで出ることになったの?』だって

市川監督ナイス…いや三谷幸喜氏はショックだったろう(苦笑)


●不運の方程式〜あなたの『ついてない!』を科学する
ピーター・J・ベントリー

これは『あなた』の不運過ぎる一日に密着

まずあなたの寝過ごしから始まる一日。。。
寝過ごしはなぜ起きるか
ということも踏まえて睡眠の科学夢の科学を紐とく

この後、車に乗ろうとして鳥のフン被害に遭い
その際にカバンをどこかに落とし
ガソリンスタンドでは軽油を入れてしまい、
仕方なく徒歩で会社目指すも
迷ったりバス停留所でずっこけたり
バスの中で髪にチューインガムがついたり…と

架空の登場人物ながら
この『あなた』に同情を禁じ得ない
会社に着けばパソコンに関するトラブルまで…orz

それぞれの失敗はほんの導入でそこから展開する解説のスタイルは色々で面白い。

パソコンの故障の末期は
最後の手段でパソコンを傾けまくったり、HDを冷凍庫に入れるとか斬新な裏手段まで書いてある。

「赤ワインをこぼす」という失敗から
赤ワインのしみが乾かないうちに白ワインでとることができるという伊東家的なネタから

排水溝に鍵を落とす
という失敗から
宇宙の重力の話になるのだ…
壮大過ぎる!!

なんだかんだ
身近なとこから雑学覚えたい人にはオススメの本です。
posted by 彩賀ゆう at 16:22| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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