2010年03月18日

読書雑感5冊

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また少し前に読んだ本の雑感など。

●『狂乱西葛飾西日記20世紀remix』 大森望

これは大森先生の交遊録で

SF作家やミステリー作家など膨大な数の交友が楽しめます。

あの京極先生が「残酷な天使のテーゼ」歌うらしいですよ〜!

まあ、その中でも「SF」というカテゴリが最近は揺らいでいる…
というような興味深い話もあり
SFに分類される作品は確かにあれど
作者の方でもSFというカテゴライズを望まず
世間もSFというカテゴリに大きな偏見があるようだという。
いつか
もっとふさわしく新しい言葉ができるのかもしれない。


●『巷は勘違いに満ちている』 松崎菊也

これはびっくり
コラムだが作者のことも知らず
なんとなく読み進めたら
松崎菊也さんは大分出身ザ・ニュースペーパー
初期からのメンバーということが判明。

大分の悪いとこを滅多打ちにしつつ
故郷愛の深さも感じさせる。
60代とは思えないパワフルな感性とアナーキズムにひれ伏しました。


●『宇宙飛行士になった子どもたち』 杉山由美子

これは特に向井千秋さんと母親のお話は泣けるのであるが
「宇宙飛行士」という数名の選ばれたエリート
その子供時代のピュアさと親との関係性

(特に親が子供を子供扱いしてない、一個の人間と見ている)

皆自然が好きでのびのびしている。
その中で勉学を苦行と捉えず
きっと「可能性を形にするもの」と楽しく考え
壮大な夢の実現を果たしたのだ。

子供達は不思議と
居間や廊下で…しかも みかん箱の上で勉強しつついい点をとるのだった。

唸りますね〜。

最後に参考書のようにこの母親のココがいいと
わざわざ集めている解説がありますが
それは余計だと思います。

●『ひとつ上のアイディア。』 眞木準
それぞれアイディアを仕事にして成功している達人なので
タイトルや文章までやはり独特である。
逆説を使ってどきっとさせたりもする。
そしてやはり視点が鋭い。
ある場面では柔軟、ある場面では頑固
有名なCMなどの誕生秘話も聞ける。
少しのズレで成功か失敗かも分かれる。
本当に勉強になる。

●『グラスホッパー』 伊坂幸太郎

「死神の精度」と「重力ピエロ」は映画で観たが
この伊坂氏の文章を読んだことがなかったのでどきどきしつつ読んでみた。

この伊坂氏
興味深いシチュエーション」を作るのが天才的だと思えた。
3者3つの角度から物語が展開され
全てきな臭いのだがぐんぐん引き込まれる
多分そのシチュエーションの妙に立会いたい欲を刺激するからだ。

そして映像化を最初から頭に入れているかのような
ぐるっと360度破綻のない緻密な描写。
静かで深い闇を感じるが少しばかり救いがある」それが伊坂作品の空気だと思う。
posted by 彩賀ゆう at 19:55| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月27日

読書雑感6冊

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少し前に読んだ本の雑感など。

●『マイナス・ゼロ』 広瀬正

この本は
私の好きな「タイムスリップもの」ということを
随分前に聞いていたので気になっていたがようやく会えた。

タイムマシンは出てくるが
時代を跨いで、それぞれの人生がみっちり描かれ
俊夫と啓子の数奇な運命が次第に紐解かれていく。
ゆっくりと核心に迫っていく緊張
ガーンと頭を殴られたような衝撃を覚えた
一見古風な物語の中でタイムパラドックスのいびつさが
際立って素晴らしく震えた。


●『世界クッキー』川上未映子

この人の文体は、エッセイですら呼吸をするような…
細胞の奥で書いているような感すらある。
だが絶対的に女性のリズムだという気はする。
彼女はその文体で
その時々のとるに足らないとこから派生した昂ぶる思いや
過去に置き去りにした生温かい感傷を
つぶさに脈絡なく語ってくれる。

そのとりとめもなさが
兼好の
あやしうこそものくるほしけれ」という言葉さえ思い出させるほどだ。
彼女の細胞からの吐露を聞くような文章。
少し読むだけで
うっかりすごく親密になったような錯覚をしてしまうのも
彼女の人気が美人だけにとどまらない理由だろう。


●『知恵熱』池松絵美

なんとなく面白そうで手にとったが、
後々辛酸なめ子氏の本名だったと気づいた。

まさに中二病というか
女子中学生と女子高生のそれぞれの
頭でっかちだとか…世を拗ねてるだとか…
感化され易いだとか…異性への興味だとか…
このリアルなまでの感情の動きや関係性の変化
天才的…というのか彼女自身が
いまだに少女の心を持っているのか。

そう少女って綺麗なものとか無垢なものではなく
かなり残酷で身も蓋もない生き物なのです。

●『知りたがり屋の猫』 林真理子

この人に
男女にまつわる裏のドロッとした感情や
同性に対する僻み嫉み恨みなど
書かれると毎度毎度巧くて唸る。
起承転結転結くらいのしつこさやボロボロに堕ちていく様とかも。
たまに読みたくなる。

長編だと思ってたら短編集だった。
そしてこの中の終わりの方の短編は真理子ぽくなく
さらっと終わっているものが幾つかあって新鮮だった。

最近も真理子節っていうのかなよく出てくる
「男が自分の名を呼び髪を撫でる…その時間のなんと甘美なことか」
的な文章とか。こういうスタイル変えないよね。

押し付けがましさもあるけどすぐ彼女の文章ってわかる。
ここまで来ると独自性の確立でアッパレ。

林真理子の
聖家族のランチ」はとにかく恐怖だった。あんな凄い展開とはね。
しばらく食欲を失った。

●『お母さんという女』 益田ミリ

益田ミリ、『お父さんという男』も読んだので
続けて読んでみた。
お父さんとは他人行儀なとこもよく描かれていたけど
お母さんとの距離はぐっと近い。
「母からメールがどんどん来るようになって嬉しい」と書く反面
いつか来なくなったときのことを考えると
というような先の心配をするとこなんて
少し泣ける。

私も楽しいとすぐにそれを失うことを考えてしまうから。
いつも同時に同率で持ってしまう。

>●『六つの手掛かり』 乾くるみ

乾くるみは男性作家で

「イニシエーション・ラブ」が特別面白かったので
それからあとも「リピート」とか読んだが
それはあまりピンと来なかったなあ。。。

で、この本はオムニバスになっていた。
東野圭吾の天下一のような。

林茶父という探偵が事件を解決するという。
風貌は太ったチャップリンでマジシャン。

それぞれの事件はよく練られていて
トリックなどに破綻は感じられないが
ややそれにまつわる人間の行動に強引なとこがあるというか
その動きに必然性があるのかは疑問…
その人のその個性だからと言われればそうかと
自分を納得させながら読むしかなかった。

茶父氏の謎解きも一見論理的だが
幾分レトリックの巧妙な人という印象だ。

まあ面白くは読めた。

最後の最後はウイットある…笑
posted by 彩賀ゆう at 00:48| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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